1=0

有名な1=0 の「証明」として、

a = b+1
(a-b)a = (a-b)(b+1)
a^2-ab = ab+a-b^2-b
a^2-ab-a = ab-b^2-b
a(a-b-1) = b(a-b-1)
a = b

ここで a = b+1 だったから b+1 = b, ゆえに 0 = 1. Q.E.D.

っていうのがある。
さあどこがまずいでしょう。知らない人のネタバレを避けるために以下一応折り畳んでおく。












































タネは 5行目→6行目 で (a-b-1) で割ってるところで、これは一番最初の仮定からゼロで割ってることになるのでここがアウト。

…と10年くらい前に昔初めて読んだ時はへええと思ったがなんとなく狐につままれたような感じだった。当時の疑問は、なんで5行目の数式が a-b-1 がゼロであることを「知って」いるのか、ということだった。

さっきこの「証明」を久しぶりに見て改めて考えたらそう大した話ではなく、別にこの5行目の数式が「a-b-1=0を知っている」というわけではない。
この5行目の数式自体は「a=b あるいは a-b-1=0」という意味なので、ここに a-b-1 ≠ 0 という仮定を持ち込んでやるとa=bが結論されるということだ。
論理の流れとしては、1行目で P *1という仮定をして、5行目まででこれを P∨Q *2の形に持っていっているような操作なので、Qの内容が何だろうと推論としては特に問題がない。ここで6行目に移るときに ¬P をこっそり持ち込んだので途中で勝手に入れた Q が出てくるという仕組みだったわけだ。

同じ疑問を抱いてかつそこで立ち止まるような人がどれくらいいるのかは謎だが、僕の中では一つすっきりしたので記事にしてみた。

*1:Pはa=b+1

*2:Qは a=b