Xenon Poisoning

http://hyperphysics.phy-astr.gsu.edu/hbase/nucene/xenon.html
Xenon poisoningというのがチェルノブイリ事故に繋がったという話。

Xe135が非常に大きな中性子吸収断面積を持つ上にありふれた核分裂生成物であるI135(生成物の 6% くらい)から生成するので、原子炉を非常に低出力で運転してしまうとXenon Poisoningというのが起こる。
出力を下げてもI135は残っているのでXe135は生成し続けるし、Xe135が中性子を食べていなくなるという反応がなくなるのでどんどんXe135が溜まる。
Xeは炉内条件で3百万バーンの中性子吸収断面積を持つため、400-600バーンのウラン分裂イベントと同等になってくる。このせいでしばらく*1原子炉出力が上がらなくなってしまう。

制御棒を抜いても反応度が上昇しないな、と思って制御棒を完全に抜いてしまうと、核反応で出た中性子はXeを全部焼いてしまうし、吸収材の役目を持つ水*2も沸騰して密度が下がるし、結果反応スピードが急上昇して制御不能に陥ると。

Gdが最大の熱中性子吸収断面積を持っているのかと思っていたけど上がいたのね*3。エネルギー依存性のグラフがあれば見たい*4。しかしhyperphysicsってこういうのも扱ってるのか。

*1:I135は6.7時間、Xe135は9.2時間の半減期を持つ

*2:チェルノブイリ事故の起きたRBMK型原子炉では減速材は黒鉛が担っていて、水は減速材としてよりは吸収剤として働くのだそうだ

*3:しかし http://en.wikipedia.org/wiki/Gadolinium によれば安定元素ではやはり最大のようだ

*4: http://physics.nist.gov/PhysRefData/ にあるかなと思うんだけどアメリカ政府の予算騒ぎでページが閉まっている