情報認知科学
内容が雑多でこうやって残しておかないと記憶に残らない
前回の続き(人間の認知を進化的に説明する)
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利他的行動
- なぜ生じる?
- 血縁者間では
- 血縁度に応じ、自らの遺伝子の存続を助ける("wikipedia:包括適応度")
- 非血縁者間では
- 同一個体間で繰り返し利他行動が起こる
- 利他行動を行わない者への罰
- 血縁者間では
の2条件下で利他行動は合理的となる(淘汰されない)
- 関連:社会契約説(Tooby,Cosmides)*1
- 人間のような社会的生物は単なる協力のみならず、直接的には自分が損するだけの純粋に利他的な行動をすることもある
- こうした利他的な行動を行う動物では裏切り者を検知するための能力が進化しているはず:
- 「利益を得るならば、対価を払わなければならない」モジュールを持つはず
- :⇔払わなければ、得てはならない⇔払えば得てもよい
- 選択課題3:
ある民族の村。キャッサバは酋長が管理する美味な食べ物で、モロナッツは普通の食べ物。キャッサバを食べるためには、酋長への忠誠のしるしとして、顔に入れ墨がなければならない。つまり、「キャッサバを食べるならば、顔に入れ墨がなければならない」。これが守られているかどうかを確かめるには次の4枚のうちどれを裏返せばよいか。 [キャッサバを食べている] [モロナッツを食べている] [顔に入れ墨がある] [顔に入れ墨がない]
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- 顔に入れ墨、という説明がポイント。これが「つらいこと」、つまり対価となることを表すのだが、この説明がないと正答率がだいぶ落ちる。
- まとめ:「ずるい」という感情は根源的なもの?
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ref:http://www.js.yamanashi.ac.jp/~mist/misc/psychology.html
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仮説検証としての4枚カード問題
人は4枚カード問題を解くときに論理的、演繹的演算を行っているのではない。
- 仮説検証:つぎの2つの仮説のどちらか
- PならばQ成立
- 不成立
- 期待獲得情報量:裏返したときに得られる情報が2つの仮説の区別に役立つものを選ぶのが有効。
- 希少性仮説:PやQである確率は、not P、not Qである確率より低い:あるものがバッグである確率は、それがバッグでない確率より低い。
援用すると、
カード、それを裏返して出たもの | PならばQの確率 | PならばQでない確率 |
---|---|---|
P,Q | 確実 | 低い |
P,not Q | ありえない | 高い |
not P,Q | 低い | 低い |
not P,not Q | 高い | 高い |
Q,P | 高い | 低い |
Q,not P | 低い | 高い |
not Q,P | ありえない | 低い |
not Q,not P | 確実 | 高い |
らしい。
表で右2列の確立の差が大きいものがつまり期待獲得情報量が大きいということ。だからQを裏返してしまう人が多い。*2
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人はなぜ論理に従わないか?
- 前提が必ず真?
- 前提以外のことを考えてはいけない?
あまり自然な状況ではない。
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認識の重奏性、冗長性、文脈依存性
- 単一のモードで思考しているわけではない
- 人間の思考は文脈に敏感であり、
- 論理
- 個別経験
- 意味(実用的な意味、メンタルモデルに基づく意味)
- 進化的意味
などの組み合わせ、しかも同時進行的:認識の多重セーフティネット